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浅井咲子先生による、第3回『関西@心理臨床を学ぶ会』トラウマ臨床の現在Ⅱ-「発達性トラウマと身体的主訴の関連、そしてアプローチ方法」

2024年4月20日(土) 16:30〜19:00

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身体的主訴(過敏性腸症候群、慢性疼痛、慢性疲労症候群および自己免疫疾患等)を 自律神経の調整不全を介した、トラウマ由来という身体志向の臨床心理の視点で捉える。

会場 大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
住所 大阪府大阪市中央区大手前1-3-49 ドーンセンター 5階セミナー室1    地図
料金制度 有料イベント
ジャンル >
事務局 関西@心理臨床を学ぶ会 事務局 (中西心療内科・内科医院内)    お問合せ ※当イベントは上記の事務局によって企画・運営されており、(株)こくちーずは関与しておりません

イベント詳細

浅井咲子先生をお招きして、第3回『関西@心理臨床を学ぶ会』を下記にて開催いたします!

日時:令和6年4月20日 16時30分より19時00分(16時00分より受付開始)

 場所:府立男女共同参画・青少年大阪センター(ドーンセンター)5階セミナー室1

〒540-0008大阪市中央区大手前1-3-49  TEL 06-6910-8500  https://www.dawncenter.jp/

 参加資格:医療、心理、教育、福祉等の対人援助職、その分野専攻の大学院学生

 参加会費:会場3,000 円 オンライン参加4,000円

 定員:会場(55名)+オンライン参加

 

-逆境的小児期体験(Adverse Childhood Experience : ACE)と言われる早期のストレス体験が、成人してからもなお種々の精神疾患だけではなく、高度な肥満・喫煙などの生活習慣や心筋梗塞・何らかの癌・脳卒中・免疫系・内分泌系疾患などの身体疾病に罹患するリスクを飛躍的に高めることを疫学的に実証する研究、ACE研究が、アメリカの疾病予防管理センター(Centers for Disease Control:CDC)で長年にわたって行われてきたことは、ご存じの方も多いと思います。

このACE体験とは、小児期や思春期に経験した精神的または身体的なストレス要因(親による侮辱、暴言、暴力、性的虐待、ネグレクトの他に、家族の誰からも大事にされていない、家族どうしの仲が悪い、誰も守ってくれないと感じた経験)と、子どもの家族内にある機能不全(別居や離婚による親との別離、母親に対する暴力や暴言の目撃、家族に薬物・アルコール依存やうつ病など精神疾患の罹患があること、家族に自傷行為や自殺企図をする人がいる、または服役中の人がいるなど)となる体験のことをいいます。

いわゆる「トラウマ(症状)」は、医学的にも、心理学的にも「精神疾患」に分類されています。ところが、1.恐ろしいこと(危機的出来事)が人間には起こる。2.わたしたちは「生き残るべく(自律神経系が)配線されている」ライオンの襲撃(または、愛する人を亡くす、虐待、事故など)から立ち直る方法を進化させなければ、今、人間という種はなかっただろう。3.トラウマは、(生命の危機に対する警報・危機管理の役割をする)脳の古い部分が、(多くの場合は過剰に働き、そのように生き残るべく進化した)身体の働きを変えて(PCのように動きを遅くしたり、時にシャットダウンさせて)しまう。(危機ではなく安全・安心の、そうしてそれら同時の)身体感覚に気づきを向け、(精神活動も含めた身体機能全体を調整している自律神経系の)自己調整力を身に着ける(より機能的に育てる)ことで脳(PCのOS)を『再起動』させることができる。」(下記、浅井先生の最新の翻訳書より、一部改編)トラウマ的ストレスに由来する防衛反応(症状)は、人が受ける様々なストレスに対処して「生き延びていく」ために、太古の昔から進化させてきた身体の自律神経系の生き残り戦略の過剰ないし過少であると、つまり、「本来の身体的防衛反応の誤作動」であると考えることもできるでしょう。しかしながら、そのように理解し、対応しようとする枠組みは、残念ながら現代の医学の中にはみあたらなく、対症療法に終始してしまうことがほとんどなのかもしれません。

そこで、医学ではカバーしきれないところを、臨床心理の立場から、しかも、身体志向のアプローチを本領とされる浅井咲子先生に、ご講演を依頼させていただきましたところ、このように素敵なテーマでお話しいただくことになりました。

 

【テーマ】

「発達性トラウマと身体的主訴の関連、そしてアプローチ方法」

 

【概要】

身体的主訴(過敏性腸症候群、慢性疼痛、慢性疲労症候群および自己免疫疾患・免疫不全など)が自律神経の調整不全を介した、トラウマに由来するという臨床心理の視点で捉えていきます。

主にタッチを発達性トラウマのセラピーに導入しているキャッシー・ケインとスティーブ・テレールが 臨床で用いているポリヴェーガルの概念や技法を用い、神経系に自己調整をどのように確立していくか、お話していきます。

 

【講師】浅井咲子 先生 

さて、今回の『学ぶ会』でご講演をお願いした浅井咲子先生は、ここであらためてご紹介するまでもない著名なトラウマ・セラピストです!まずは公認心理師であり、身体志向のトラウマ技法として世界基準のゆるぎない評価を得ているソマティック・エクスペリエンシング®のプラクティショナー、その中でも上級グループコンサルタントの資格をお持ちです。また、現在世界的に注目を集めている、家族療法に端を発し、自己を複数の自我状態(パーツ)からなる有機的なシステムとして捉え、自己内でそのパーツと思い遣りに満ちた対話を重ねて自己内愛着を育んでいくことによって統合および(トラウマ後)成長をもたらそうとする内的家族システム療法(Internal Family Systems Model:IFS)の日本では数少ないレベル2の修了者でもあります。

先生のその背景には、身体志向の潮流をエビデンスのある科学の次元にまで押し上げた画期的な自律神経理論であるポリベーガル理論から見た、身体についての豊かな知見を縦横無尽に生かされて、総括的リソースモデル(CRM)、さらに最近では斬新な神経調節の『タッチ』の技法に至るまで、幅広い、深遠な見識や治療技法を取り入れながら発達性トラウマ、愛着、解離などに由来する困難や諸症状を改善することに弛まずご注力されてこられました。そして、その足跡は現在、神経自我統合アプローチ[Neuro-Ego Integrative Approach:NEIA]という形に結実し、更なる進化を目指して、臨床およびその普及の講演活動でご活躍中です。

 

*浅井咲子先生のご略歴

 

外務省在外公館派遣員として在英日本国大使館に勤務後、米国ジョン・F・ケネディ大学院カウンセリング心理学修士課程修了。現在、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」代表。ソマティック・エクスペリエンシング™療法のコンサルタントとして活動する他、*神経自我統合アプローチ[Neuro-Ego Integrative Approach:NEIA]、さらに最近では『タッチ』の技法も積極的に取り入れられています。そのようにして、生きづらさを一人でも多くの人に解消・解放してもらうべく多数の講演・講座を精力的にされておられます。

*神経自我統合アプローチ[Neuro-Ego Integrative Approach:NEIA]:発達性トラウマへの取り組みは、神経系に調整力を培い、自分のなかに安定型の愛着を育むことが重要になります。このアプローチの理論的背景としては、ポリベーガルセラピーとパーツワーク(神経生物学的構造的解離モデル)です。トラウマを「自律神経系のクセ」(手続き記憶)とし、神経系のニーズを理解し、それに合わせ4つのゾーン分けて介入することで、「いつ、なにを、どうやる」、これが分かると、介入がより的確に安全になり、癒しを進めていくことができます。

 

著書に「自律神経セルフメンテナンス」(非営利活動法人ratik 2014年)、「100%魂のかたち」(ヒカルランド 2017年)、「今ここ神経系エクササイズ」、「いごこち神経系アプローチ」(梨の木舎 2017年/2021年)、「安心のタネの育て方」(大和出版 2021年)、翻訳書にP.ラヴィーン/M.クライン著「子どものトラウマ・セラピー」(雲母書房2010年)、K.ケイン/S.テレール著「レジリエンスを育む」(岩崎学術出版2019年)〔共訳〕、J.フィッシャー著「トラウマによる解離からの回復」(国書刊行会 2020年)、F.G.アンダーソン/M.スウィージー/R.C.シュワルツ 著「内的家族システム療法スキルトレーニングマニュアル―不安,抑うつ,PTSD,薬物乱用へのトラウマ・インフォームド・ケア 」(岩崎学術出版社 2021年)、ピーター・ラヴィーン/マギー・クライン著「新訳版 子どものトラウマ・セラピー」(国書刊行会 2022年)、ジェニーナ・フィッシャー 著「サバイバーとセラピストのためのトラウマ変容ワークブック―トラウマの生ける遺産を変容させる」(岩崎学術出版社 2022年)、スティーブン・ヘインズ/マジ・ノール/マリーナ・カンタクジノ著「トラウマや不安、痛みって本当に不思議、でも、私は大丈夫、と言える本」(いそっぷ社 2023年)があります。

 

-さて、私事でたいへん恐縮ですが、私は、これまで児童思春期をはじめとして、精神科・心療内科の外来をしてきました。その中で、一つ気づいたことがありますので、それをお話しさせていただいて、今回、浅井咲子先生に、ご講演をお願いした理由についてのお話しに替えさせていただきます。

やはり、当院に通院いただいているのは、発達特性も含めた心理的あるいは精神的な困難を抱えておられる患者様がほとんどなのですが、その中に、慢性関節リウマチやSLEといった自己免疫疾患を併存されておられる方が、単に私見に過ぎませんが意外と多いのです。その中で、一番印象に残った患者様とのやり取りを取り上げさせていただきます。

 

ある一人の、通院歴が十数年におよぶ、40代の女性がおられます。当院に通院いただいた当初は、気分の急激な変動があり、それに伴って不眠と過眠の交代、不安と焦燥感、さらに自己治療的な摂食障害の症状も伴い、漠とした希死念慮が持続しており、時に自殺企図に至ることもありました。通院開始から数年を経て、いつしか、それらの症状は背景化?して、診察室での小気味よい会話の様子から、元来の勘の良さを思わせる、どこか気品さえ漂うような女性へと変わってこられました。ところが、そのように精神的に落ち着かれ出した頃から、突然のスパイク状の高熱、四肢の関節の腫脹、原因不明の腸管の麻痺性イレウスが出現するようになり、救急搬送から短期間の緊急入院をくり返すようになりました。そうして、内科主治医から、症状の重篤さのため、確定診断には至らないもののSLE疑いとして、ステロイドの使用も打診されているとのことでした。

 ところで、ある時私が、心理教育といった体で、「専門外の私がこんなことを言うのも筋違いのことと、内科の先生からは笑い飛ばされるかもしれませんし、ご自身のこころの負担をさらに大きくしてしまうかも知れませんが・・・」と、言いよどみながら「自己免疫疾患って、そもそも免疫系の機能というのが、身体のバリアを突き破って侵入してきた異物を攻撃して自己を守ろうとする身体の働きであるのに、逆に、自分自身の身体の組織を攻撃してしまうという、そんな病気なんです。別のたとえをすると、コロナウイルス感染が流行し出したころ、一旦鼻腔や咽頭で増殖したコロナウイルスが、ちょうど暖を取ろうとして火をくべられたたき火が風にあおられて、あっという間に山火事になって襲いかかってくるかのように、局所的な免疫の作用が、一気に全身的な免疫反応の嵐にまで燃え盛って、特に肺の組織全体を焼き尽くして、呼吸不全になる患者さんが続出しましたよね。自己免疫疾患って、そういう本来は自分を守ろうとする免疫系の働きが、自分自身を攻撃してしまう」と、そこから勢い、私の話の穂を継ぐかのように「あッ、そこまで聴くと、心当たりのある気がします。・・・私、子どもの頃、実の母親に虐待のような扱いを受けいて、それでも『私が悪いから、そうなったんだ』という思いをずっと手放せなくて、そして、今でも、どこかでそう感じているような気もするのですが・・・でも、母親に今更自分の非を認めて欲しいとも思わないし、年老いて弱って来ているのを介護したくないというわけでも、かと言って、許すということとも全然違う・・・ただ、今、自分が精神的に小康状態でいることをできるだけ大切に、大切にして行きたい、ただそれだけなんです。」「そうなんですね、私、辛いことを思い出させてしまったのかも?」、「いいえ、誰かにこんな話しを聴いていただけるとは夢にも思いませんでした。てっきり、墓まで持って入るものだとばかり・・・先生には、感謝しています」と、私に、明るい智慧の目を向けて、もの静に微笑まれるのでした。私は、思いがけず市井にひっそりと暮らされている、いわば「人生の達人」を見る思いがしたのでした。

と同時に、少し顔を曇らせて「ステロイドを使うことには、『寝た子を起こさないでください』と内科の先生に訴え続けてきたのですが、ここまで症状が悪くなるのなら、どうしたものかと・・・」と、半ばあきらめたように力なく目を膝の上に落とされるのでした。

ところが、次回来られた時、この方が仰るには、「夜間ソファーに座りながら寝ていると、それでも、胆汁が口や鼻腔にまで逆流してきて、もうとっても表現できないほど凄いことになるので、胃カメラやCTで検査をしたんですが、主治医には原因が解らないと言われました。ただ、解らないなら解らないと言われた方が、『医学でも、解らないことだってあるんだ!』と分かって・・・先生のこの前の自己免疫疾患のお話しもそうです、『自分ではどうしようもなかったことで、今の自分がこんなことになってるんだ!』って分かって初めて、「ああ、それも自分なんだ」って納得できたようで、それの方が安心だって分かりました。『なんでこんなことになるの?』と逆らっている時の方が、ずっとしんどかったです。以前なら、高い熱が出ると、『どうなっていくんだろう』って、凄く不安になってましたが、kプ熱が出ても翌日には必ず下がっていくんだって、イレウスで緊急入院になっても、何日か後にはいつも退院してるんだって、今なら分かるので、その分、安心なんです。それに、私って、こうして自分のことだって話せてるっていうのが、楽しいくらいで・・・でも、呼吸検査では間質性肺炎の方は徐々に進行してるそうなので、ステロイドも、やっぱり必要なのかなあ・・・」と。そのお話しを伺いながら、私は、この方はどうやってこんなにレジリエンスを、それも、お一人で育んでいくことができるんだろうと驚嘆するしかありませんでした。私は、なんとかして、この方にステロイドの内服をしていただかなくて済む方法はないものか、しかも、それこそ『寝た子を起こさないようにして』と、思案に暮れるのでした・・・ 

そこで、ふと、頭をよぎったのが、最近、偶然、人から聞いて私が通い出した整骨院の先生のお話しでした。その先生は、次回の施術の予約を取られません。なぜかというと、脊椎管狭窄症などといった骨に物理的な変形でもない限り、たいてい一回で治療を終了することが出来るからだそうです(驚)。その先生が仰るには、「頸の環椎後頭関節(背骨の一番目と二番目の骨が組み合わさった骨の部分と頭骸骨とのつなぎ目の関節や微細な多数の筋肉群)が、免疫系も含めて身体全体の機能のカナメになるので、まずは、ここの調整から、で、これだけで治る方が多いです。長年、不妊治療を受けてこられた方でも、二回の施術でご懐妊されることが多いです」とのことでした。

果たして、私の長年来の坐骨神経痛も一回の施術で消失してしまいました。そして、これも偶然に、田中千佐子先生の『トラウマ・ディレクティブ・タッチ』の講座で、そして『からだのためのポリベーガル理論』という著作でも、同様のことを聞いておりました。そこで、この方に「これまで、整骨院なんかに行かれたことっておありですか?」と聞いてみたら、「ハイ、何軒も。でも、『この先生には絶対触られたくない』と思う先生もいらっしゃいましたし、それに同じ先生でも、『ああ、先生、今日はお疲れみたい』と、触られただけで分かるんです!」と・・・そこで、私は、大いなる期待を抱いて、この方に、その整骨院の電話番号を書いたメモを渡したのでした・・・(続く)     

   

 

 

   


開催場所

大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)大阪府大阪市中央区大手前1-3-49 ドーンセンター 5階セミナー室1


お申込み


イベントチケット 金額(税込) 状態
第3回『関西@心理臨床を学ぶ会』トラウマ臨床の現在Ⅱ-「発達性トラウマと身体的主訴の関連、そしてアプローチ方法」 ¥3,000
前払い事前決済
終了
募集期間:2024年2月25日(日) 18:00〜2024年4月20日(土) 12:00

イベントは終了しました


変更履歴

  • イベント名を【第3回『関西@心理臨床を学ぶ会』トラウマ臨床の現在Ⅱ-「発達性トラウマと身体的主訴の関連、そしてアプローチ方法」】から【浅井咲子先生による、第3回『関西@心理臨床を学ぶ会』トラウマ臨床の現在Ⅱ-「発達性トラウマと身体的主訴の関連、そしてアプローチ方法」】に変更しました。2024年2月25日(日) 21:53

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