2017年2月14日(火) 08:30〜17:30


イベントレポートまとめ

CFRPとは?

 炭素繊維とは?

carbon fiber

 炭素繊維はほとんど炭素だけからできている繊維といえます。衣料の原料などでお馴染みのアクリル樹脂や石油、石炭からとれるピッチ等の有機物を繊維化して、その後、特殊な熱処理工程を経て作られる「微細な黒鉛結晶構造をもつ繊維状の炭素物質」です。
 現在工業生産されている炭素繊維には、原料別の分類としてPAN系、ピッチ系およびレーヨン系があります。生産量および使用量が最も大きいのはPAN系炭素繊維です。日本の炭素繊維商業生産は1970年代初期からPAN系とピッチ系(等方性)で本格的にスタートし、1980年代後期から異方性ピッチ系炭素繊維が加わり、国内メーカーが技術改良・事業拡大を図ってきた結果、現在では日本の炭素繊維生産は品質、生産量共に世界一の実績を誇るに至っています。
 炭素繊維は単独で使用されることはまれで、通常は樹脂・セラミックス・金属などを母材とする複合材料の強化および機能性付与材料として利用されます。その優れた機械的性能(高比強度、高比弾性率)と、炭素質であることから得られる特徴(低密度、低熱膨張率、耐熱性、化学的安定性、自己潤滑性など)を併せ持つため、色々な用途に幅広く使われています。
出所:日本炭素繊維協会
http://www.carbonfiber.gr.jp

 その炭素繊維を機能性付加材料として使った樹脂をCFRP(Carbon fiber reinforced polymer, carbon fiber reinforced plastic)といいます。
 特徴として、鉄やアルミなどの金属材料よりも低密度でありながら、力学特性に優れた比強度が高い、軽くて強い材料です。しかし、成形加工が難しく、量産効果出にくい・高コスト、圧縮に弱い、等克服すべき課題もあります。

  アルミニウムやチタンといった軽金属に代わる材料としてゴルフクラブのシャフトや釣り竿、テニスラケットなどスポーツ用途から実用化が始まり、1990年代からレーシングカー(F1)、航空機などの産業用に用途が拡大、現在では建築・橋梁の耐震補強、再生可能エネルギー・風力発電などでも広く使用されています。航空宇宙向けではオートクレーブと呼ばれる圧力釜に入れて圧力と高熱を加え、強度を高めます(ドライカーボン)。

帝人「Solutions まだ誰も到達していない場所へ」
http://www.teijin.co.jp/solutions/cfrp/

 今回訪問する2社は、東レに次ぐ世界第二位の炭素繊維メーカー帝人の関連会社です。もともとは化学繊維メーカーとして有名な帝人ですが、新素材の研究開発で世界をリードする企業として米、欧中心に国際展開を図っております。